「今日という日は、このために」
 #5 月と水と

旧暦8月15日、奈良吉野の天河神社では観月祭が執り行われます。深夜、山から差し昇る中秋の名月をタライに張った御神水に映し、その光を心身に宿していくのです。月の波動と水の波動とが一体となる神事とされています。神殿では祝詞に先立ち、ある言葉が奏上されます。 「それ…

「今日という日は、このために」
 #4 形にあらざる何か

1994年7月、私はインド北部ヒマラヤ山脈の麓に位置するジスパという村で、2週間近くを過ごしていました。あるドキュメンタリー番組の撮影のためです。標高3,200メートルにある人口300人程度の小さな村に、3万を超える人々が集っていました。首都デリーから険しい山…

「今日という日は、このために」
 #2 目を閉じることで見えてくる世界

「風の色」という言葉の意味を、今でも深く考えることがあります。このフレーズは、龍村仁監督の著書「地球(ガイア)のささやき」(角川文庫)の中に記された、ある章のタイトルに使われています。そこには、人生の最終盤を迎えようとしている母親と共に歩く、春を迎えた新宿御苑…