「この日」
11月2日の夕刻が近づくにつれ、激しくなる雨風。
天河神社の境内を、東から、西から、水を含んだ風が舞いながら吹き抜けていきます。
半野外の能舞台にスクリーンを張ることさえ躊躇われる中、できる準備を重ね迎えた定刻19時。なんとか無事にご参列いただいた方々をお迎えし、大神さまにこの映画をお届けすることができました。
改めて心よりの感謝を申し上げます。
嵐の翌日、柿坂神酒之祐名誉宮司、ツェンコヴァ・ルミアナ教授からあるお言葉をいただきました。
「神社境内にある重なり合う天河を象徴する五十鈴。五十鈴自体、人間の本体を司る三つの魂であり、それが二つ重なりあい螺旋を描くことで『清き、明き、直き、正きもの』となる」。この名誉宮司に呼応するようにツェンコヴァ先生が「まさに水の構造ですね」と。
この短いお二人のフレーズに、昨日の全てが刻み込まれていたように思います。
龍のように舞う雨風が真名井(まない)の井戸から吹き抜けていった11月2日。
まさにこの日、天からの力を授かり天河神社に真名井と呼ばれる磐座が誕生した縁起の日だったのです。
西嶋航司 拝